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相続財産別の調査方法と資料を取得するために必要な費用を紹介

ある方が亡くなれば相続が開始され、被相続人の財産は相続人に分配されます。相続人らは遺産分割協議を行い各々の取得分を決定し、その内容に応じて相続税の申告および納税を進めていきます。
相続開始後の流れをざっと示せば簡単な手続のように見えますが、これら手続を進めていくためには前提として「相続財産の調査」ができていなければなりません。この調査を早いうちに進めておかなければ他の手続が進められませんので、早期に着手しておく必要があります。
そこでここでは主な相続財産につき、具体的な価額を把握する上で必要となる各種資料の取得方法や、負担しなければならない費用について紹介をしていきます。

 

預貯金の調査方法

多かれ少なかれ被相続人には預貯金があることでしょう。
そこでまずは取引先である金融機関を把握する必要があります。そこで被相続人の自宅を調べ、通帳や金融機関からの書類がないかを確認していきましょう。

 

金融機関が把握できれば、「残高証明書」を発行してもらうことで預貯金の額を知ることができます。
また取引履歴を確認すれば、借入金の存在、その他被相続人の契約関係なども把握できることがあります。

 

残高証明書の発行手続と費用

残高証明書は、預貯金の額を把握するだけでなく、相続税申告のためにも必要になる書類です。
相続人が単独で請求手続を行うこともできますし、遺言執行者、相続人が存在しないときに選任される相続財産管理人も請求手続を行うことができるとされています。

 

ただし請求にあたっては「被相続人が亡くなったことがわかる戸籍謄本」や「相続人であることがわかる戸籍謄本」などを準備しておく必要があります。

 

書類の提出に併せて手数料も納めます。金融機関によって手数料の額は異なりますが、おおむね数百円から1,000円程度ですので、大きな負担となることはないでしょう。詳しくは請求先の金融機関に問い合わせると良いです。

 

請求後は、1,2週間ほどで残高証明書が請求者の元へ届きます。しばらくの期間を要しますので早めに取り組んでおくことが大切です。

 

有価証券の調査方法

有価証券も相続財産のうち比較的大きな割合を占める財産です。特に投資用の株式を保有している場合には要チェックです。
預貯金通帳等を探す際、有価証券に関する書類もないか一緒に探しておきましょう。自宅の捜索により取引先が明らかになれば当該取引先に残高証明書の発行を依頼。取引先が分からない場合には証券保管振替機構に開示請求を行いましょう。

 

証券保管振替機構への開示請求手続と費用

証券保管振替機構に対してする開示請求とは、上場株式の口座が開設されている証券会社等をチェックするための手続です。担保の受入れに関する情報も確認可能です。
ただ、上場株式の銘柄名や取引履歴、保有残高までは同手続で開示されません。また、上場していない株式や外国株式等の口座がどこで開設されているのかも確認することはできません。

 

開示請求の費用は、口座を持つ本人だと1件あたり4,400円で済むところ、相続人や遺言執行者が請求する場合には1件6,050円がかかります。ただし法務局が発行する法定相続情報一覧図の原本を提出する場合には1,100円が割引されます。

 

残高証明書の発行手続と費用

上記開示請求手続だけでは財産の価額までは把握できません。
そこで、取引先に対して残高証明書の請求を行わなければなりません。

 

請求手続にあたっては、被相続人の死亡が記載された戸籍謄本、請求者自身が相続人であることがわかる戸籍謄本が必要です。法定相続情報一覧図でもかまいません。これらに加えて、請求者の実印と印鑑証明書も準備します。

 

発行手数料が必要ないこともあります。手数料がかかる場合でも数百円から1,000円程度で済むことがほとんどです。作成した残高証明書発行依頼書の提出とともに手数料も納めて発行を依頼しましょう。

 

不動産の調査方法

不動産の有無は、遺産分割協議・相続税の計算上非常に重要な情報です。
その他の財産に比べて1件あたりの価額が大きい傾向にありますので、よく調べておく必要があります。

 

そこで、固定資産税に係る通知書、登記識別情報通知書を確認するなどして不動産を特定していきましょう。市区町村役場にて「固定資産課税台帳」を取得して確認することもできます。被相続人の不動産が把握できれば、登記簿謄本を取得します。

 

固定資産課税台帳の取得手続と費用

固定資産課税台帳を取得して内容を確認するには、“物件の所在地における役場”で手続を行う必要があります。請求者の住所地、被相続人の住所地ではない点に留意しましょう。

 

手続にあたっては、申請人の本人確認ができる書類、被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本、相続人であることを確認できる戸籍謄本、そして手数料の準備が必要です。
手数料に関しては不要であるケースもありますし、有料であっても数百円程度で済むケースがほとんどです。

 

登記簿謄本の取得手続と費用

当該物件の登記簿謄本を取得しましょう。
登記簿謄本に関しては全国どの法務局であっても請求が可能です。交付申請書を作成し、手数料を納めて請求しましょう。

 

手数料は1通あたり600円。収入印紙を貼付する形で納めます。

 

相続財産の調査を専門家に依頼するときの費用

預貯金や有価証券、不動産以外にも様々な財産が調査の対象となります。そのため相続人自らすべての調査に対応しようとすると非常に大変です。また、調査に漏れがあると適切な遺産分割ができないこと、そして相続税の申告も適切ではなくなりペナルティを課せられるなどのリスクが生じます。

 

そこで相続財産の調査については弁護士などの専門家に依頼するケースが多いです。事案に応じて大きく異なりますが、10万円~30万円ほどでイメージすると良いでしょう。
費用の負担がかかる反面、相続人には手間がほとんどかからなくなりますし、不備なく相続に関する各種手続を進められるようになります。特に弁護士に依頼する場合、財産調査のみならず相続に係る様々なアドバイスも受けることができ、相続人間でのトラブル予防、遺産分割協議書の作成など、幅広く対応してもらうことができます。

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志田 一馨弁護士
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