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自己破産における「予納金」とは?金額の相場についても紹介
借金の返済が不能になった場合、自己破産を検討することになります。
しかし自己破産は無条件でできるわけではなく、いくつかの要件を満たしているとの評価を得る必要があります。
そしてこの観点から「予納金」というものに目を向けることも大切です。
この記事で予納金について解説していきますので、自己破産を検討している方はぜひ参考にしてください。
予納金とは
予納金とは、読んで字のごとく、「あらかじめ納めるべきお金」のことを指します。
自己破産をしたいのであればその手続を進めるにあたり裁判所に対し金銭を支払わなければならず、その費用を予納金と呼んでいるのです。
具体的には①郵便切手代、②官報公告費用、③引継予納金が主な予納金として挙げられます。
金銭的に余裕のなくなった人が利用する手続ではあるものの予納金の支払いは必須とされていることから、最低限その費用分は確保できているうちに申立てに着手する必要があります。
予納金の内容と金額の相場
予納金の金額は一律ではありません。
自己破産を申し立てる方の状況に応じて変動します。
しかしながら「債権者数」と「債務額」を指標とする点はどの裁判所でも共通しているため、そこから金額の相場を把握することは可能です。
以下で、各予納金の内容と金額の相場について紹介していきます。
郵便切手代
自己破産の申し立て後は、その事実を債権者に伝える必要があります。
そしてその通知に際して郵便切手が必要となりますので、その費用分を裁判所に納付します。
細かな金額については申し立て先の地方裁判所によって異なりますので注意が必要です。
例えば横浜地方裁判所が公表(令和元年10月版)している予納郵便切手代の場合、個人の管財事件に関しては以下の用意が必要とされています。
- 84円を10枚
- 10円を10枚
- 1円を20枚
このときの合計は960円です。
ただ、債権者申立の場合には大幅に必要な切手が増え、合計10,900円分の用意が必要になるとされています。
官報公告費用
自己破産をした場合、その事実は官報に掲載、公告されます。
つまり債権者などの利害関係者のみならず全国の誰もがその事実を知ることが可能となります。
実際には一般の方が公告をチェックすることはあまりないため周知に至るわけではありませんが、法律上その手続を行うことは必須とされています。
そこで官報公告費用の納付についても欠かすことができません。
当然、「予納」ですので公告時に納めるのではなく自己破産申し立ての段階での納付が必要です。
相場は1,2万円とされていますが、こちらもやはり裁判所によって金額に差があります。
例えば横浜地方裁判所の情報によると、個人管財事件に関しては15,499円が必要とされています。
※同時廃止事件の場合は11,859円
引継予納金
予納金の中でも最も重要な位置にあるのがこの「引継予納金」です。
なぜ重要なのかと言うと、ほかの費用と比べてその金額が桁違いだからです。
郵便切手代や官報公告費用については数万円程度で済むところ、引継予納金に関しては最低でも数十万円、場合によっては数百万円の納付が求められます。
そのため、実質自己破産における予納金は引継予納金で決まると考えても差し支えありません。
なお、引継予納金とは、破産管財人などの破産者の財産をきちんと管理する人に対する報酬のことです。
そこで破産財団の額が大きいほど、債権者の数が多く複雑な財産構成であるほど管財人等の仕事量は増えますので、引継予納金の額も膨れ上がることとなります。
例えば個人管財における負債総額が5,000万円未満の場合の目安は50万円です。
5,000万円以上1億円未満なら80万円、5億円未満なら150万円、10億円未満なら250万円といった形で予納金が増大していきます。
同じ個人管財事件であっても債務者申立ならまた違った金額になりますし、法人の破産ならより高い予納金が必要になります。
※比較的単純な事案であれば「同時廃止事件」として破産管財人が選任されず、引継予納金は2,30万円程度にとどまる
自己破産の申立ではその他の手数料も発生する
上に挙げた予納金とは別に、破産手続に対する若干の手数料も発生します。
こちらも状況に応じて変動しますが、1,500円ほどが相場とされていますのであまり注視する必要はないでしょう。